「作って終わり」をやめたら、年商の1/3が固定収入になった ── 受注ビジネスを安定させる、サブスクの考え方

毎月、売上がゼロからのスタート。

受注の仕事をしていると、これが、ずっと続きます。今月は3件取れた。でも、来月はわからない。だから、気が休まらない。仕事が立て込めば嬉しいけれど、ふと暇になると、急に不安になる ── そんな波の中で、神経をすり減らしていませんか。

ホームページ制作も、まさにそうでした。多くの制作会社は、「作って終わり」です。納品したら、関係はそこで切れる。また次の一件を、ゼロから探す。その繰り返し。

でも、私の会社は、少し違いました。作った後に、”継続の仕組み”を作っていたんです。それが、最終的に年商の3分の1ほどになり、経営の土台 ── 安定収入になりました。今日は、その話をします。受注の波に振り回されて疲れている社長さんに、いちばん効く話だと思います。

先に言っておくと、これは特別な業種だけの話ではありません。制作でも、士業でも、コンサルでも、職人仕事でも ── 「一回売って終わり」の形になっている商売は、みんな、この不安定さを抱えています。だからこそ、業種を問わず、一度考えてみる価値があるんです。

なぜ、受注ビジネスは、いつまでも安定しないのか

理由は、はっきりしています。「作って終わり」「売って終わり」だからです。

一件納品するたびに、収入はいったんゼロに戻る。だから、また次を探さなければいけない。どれだけ腕が良くても、どれだけ良いものを作っても、”今月の売上”は、今月の受注の数で決まってしまう。これが、自転車操業の正体です。

そして、この自転車操業は、止まれません。ペダルを漕ぐのをやめた瞬間に、倒れる。だから、休めない。体調を崩しても、家族に何かあっても、漕ぎ続けるしかない。一人社長や小さな会社ほど、この構造に、きつく縛られています。売上の山と谷が、そのまま、心の浮き沈みになってしまうんです。

しかも、この働き方は、精神を削ります。仕事が途切れる恐怖が、常に背中にある。だから、本当は断りたい仕事も受けてしまうし、値段も強く言えない。安定しないから、立場も弱くなる。受注ビジネスの苦しさは、ここにあるんです。

では、どうすればいいか。答えは、シンプルです。「作った後」にも、お金が入り続ける仕組みを、持つこと。

私がやったのは、「作った後」に仕組みを足すことだった

私が作ったのは、「スタートダッシュ会員」という、月額の保守サービスでした。

19万8000円でホームページをオンライン販売しはじめたとき、同時に、この月額プランを用意したんです。料金は、月1万5000円。中身は、月に数ページぶんの更新、月1回60分の電話コンサル、それと、毎月のニュースレター(PDF)。

ホームページは、作った後にこそ、質問が来ます。「ここを直したい」「こういうときどうすれば」と。その対応を、その場しのぎにせず、”仕組み”にした。それが、この会員サービスでした。結果として、ホームページを作ってくれた人の、半分ほどが加入してくれました。

当時は「サブスク」なんて言葉はありません。「保守会員」「月額会員」と呼んでいました。でも、やっていたことは、今でいうサブスクそのものです。

正直に言うと、最初は私も面倒くさがっていた

きれいごとを言うつもりはないので、正直に話します。

最初の頃、私はこの会員制度に、あまり力を入れていませんでした。保守は、手がかかる。それより、新規のお客さんをガンガン取ったほうが、目先の売上は増える。だから、「保守に時間を取られるのは、ちょっと面倒だな」と思っていた時期があったんです。

考えが変わったのは、自分が”先生”のポジションになってからでした。単なる「作る人」ではなく、「結果を出す人」として見られるようになると、継続して相談に乗ること自体が、価値になる。そして何より、この固定収入の”ありがたさ”が、だんだん身にしみてわかってきた。面倒だと思っていたものが、実は、いちばん自分を守ってくれる土台だったんです。

売り込むタイミングを、間違えない

ここは、実際にやってみて分かった、大事なコツです。

保守会員を勧めるのは、ホームページが”完成した後”では、遅い。完成してしまうと、お客さんは「もう、これでいいや」となってしまうからです。

だから私は、作る”前”に話していました。制作の打ち合わせの段階で、「完成した後も、こういうサポートが必要になりますよ」と、その必要性を、先に伝えておく。申し込みフォームにも、会員を希望するかどうかのチェック欄を作っておく。

そして、申し込みがあったら、制作費と一緒に、会費の2か月分を先にいただいておく。その間に、口座引き落としの手続きをする。3か月目から、自動で引き落としが始まる、という流れです。

ここでひとつ、地味だけど効いたのが、クレジットカードではなく”口座引き落とし”にしたこと。これで、回収漏れが、ほとんどなくなりました。引き落とし不能になる方も、たまにはいましたが、その場合は連絡して対応をお願いする。仕組みとして、きれいに回っていました。

完成後に「どうですか?」と勧めるのと、作る前に必要性を伝えて手続きまで済ませておくのとでは、加入率がまるで違う。”いつ言うか”で、結果は変わるんです。

価格は、商品の格に合わせて、上げていける

この月額プランも、商品の値段が上がるにつれて、育てていきました。

最初は、1万5000円。やがて、50万円の制作プランを作ったときに、SEOのサポートまで付けた3万円のプランを用意しました。そして、100万円のホームページが中心になったタイミングで、保守会員は、標準で月3万円に。「3万円はちょっと…」という方には、「では、半分の1万5000円のプランもありますよ」と案内する。そんな売り方をしていた時期もあります。

面白いのは、100万円のホームページを選ぶような会社にとって、月3万円は、痛くも痒くもない金額だ、ということです。だから、無理なく続く。私が会社を手放すまで、ずっと継続してくださった方が、たくさんいました。

値段を上げても続いたのは、それに見合う”格”が、商品の側にあったからです。100万円のホームページを持つ会社に、月1万5000円の保守では、かえって頼りなく見える。商品の格と、継続サービスの格は、釣り合っていたほうがいい。これも、やってみて分かったことの一つでした。

サブスクの本質は、「使うこと」ではなく「つながっていること」

これは、長くやって、いちばん腑に落ちたことです。

会員さんの中には、実は、サービスをほとんど使わない人も、たくさんいました。毎月の相談もしない。更新も頼まない。それでも、ちゃんと会員でい続けてくれる。

なぜか。”安心”だったんだと思います。何かあったときに、すぐ聞ける。対応してもらえる。その安心感に、お金を払ってくれていた。サブスクの本質は、機能を使うことより、”つながっていること”そのものに価値がある ── そう気づきました。

考えてみれば、人は「保険」にも、使わないお金を払い続けます。むしろ、使わずに済むことが、幸せだったりする。会員サービスも、それと少し似ているのかもしれません。「いざとなったら、あの人がいる」── その安心が、毎月の数千円、数万円を、納得のいく支払いに変える。だから、サービスの中身を盛り込みすぎるより、”安心して頼れる相手でいる”ことのほうが、よほど大事だったりするんです。

もうひとつ、運よく助かったことがあります。当時、私が作っていたのは、主にHTMLのサイト(WordPressとのハイブリッド型)でした。だから、ウイルス感染のような厄介なトラブルが、ほとんど起きなかった。保守といっても、手のかかる対応に追われることが、少なかったんです。継続サービスは、”提供する側が消耗しない設計”にしておくことも、長く続けるための、隠れたコツだと思います。

毎月送っていたニュースレターも、効いていたのだと思います。事業を売却するときに「ニュースレターだけは、続けてほしい」という声をいただいたほどです。後から、ああ、好評だったんだなと、しみじみ思いました。

それから、サーバーを貸すサービスとセットにする、という形もありました。希望者には、こちらのサーバーも貸す。すると、ホームページのデータが、こちらのサーバーの中にあるので、引っ越さない限り、自然とやめにくくなる。強制ではありません。でも、結果として、長く続く理由のひとつにはなっていました。簡単な修正とサーバー貸しをまとめた、手のかからない商品として、何年も払い続けてくれた方もいます。

それが、経営を安定させ、私を楽にした

この固定収入が、作るたびに少しずつ積み上がっていって、やがて年商の3分の1ほどに育ちました。

これが、どれだけ経営を安定させてくれたか。毎月、必ず入ってくるお金がある。だから、受注がたまたまゼロの月でも、最低限の収入は確保されている。「今月は1件、2件で少なかったな」という月でも、慌てなくていい。

ちなみに、100万円のプランが中心になってからは、新規も月に1〜2件で十分回る商売になっていました。そこに、固定収入が乗る。受注の波があっても、土台が揺るがない。これが、どれほど精神的に楽だったか ── 受注ビジネスの不安に苦しんだことのある人なら、分かってもらえると思います。

そして、固定収入には、もう一つの効能があります。心に余裕ができると、目先の一件に、しがみつかなくてよくなる。無理な値引きをしなくていい。気の合わない相手の仕事を、断れる。土台が安定すると、強気で、まっとうな商売ができるようになる。これは、売上の数字以上に、大きな変化でした。

あなたが、今日からできること

もしあなたが「作って終わり」「売って終わり」の商売をしているなら、考えてみてください。

「お客さんと、その後もつながり続ける理由を、何か一つ作れないか」と。

それは、保守でも、定期サポートでも、月1回の情報提供でも、相談に乗る会員制でもいい。大事なのは、”つながっていることそのもの”に価値を感じてもらうこと。そして、それを売るなら、完成後ではなく、最初の段階で。

できれば、商売を始めるとき、設計するときから、「ここから、どう継続収入をつくるか」を、先に頭に描いておくのが理想です。極端に言えば、”サブスクのためにビジネスを作る”くらいの発想でいい。今なら、月額のメンバーシップやオンラインサロンも、その形のひとつです。一度入ってもらえれば、毎月入ってくる。受注一本より、ずっと安定します。

具体的に、自分の商売に当てはめてみてください。お客さんが、納品のあとに”困ること””不安になること”は、何だろう。そこに、継続の種があります。リフォーム屋なら、定期点検。士業なら、顧問契約。お店なら、会員や定期便。どんな商売にも、「その後も、見ていてほしい」というお客さんの気持ちは、必ずある。その気持ちに、ちゃんと形と値段をつけてあげる ── それが、サブスクの第一歩です。

まず、自分の集客の現在地を見る

ただ、継続収入の前に、ひとつ確かめておきたいことがあります。そもそも、新しいお客さんが、ちゃんと入ってくる入り口があるか。土台となる集客が回っていないと、つなぎとめる相手が、増えていきません。

あなたの会社の集客が、今どこで止まっているのか。3分の無料AI診断で、現在地を確かめてみてください。

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作って終わり、では、ずっと走り続けるしかありません。でも、つながり続ける仕組みを一つ持てば、経営は、驚くほど静かに、安定していきます。

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